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年一度の乳がん検診

日本乳癌学会乳腺専門医 / 美容皮膚科医後藤 瞳

乳がん検診の実際って?

乳がんは女性の11人に1人が発症すると言われており、女性では最も多いがんです。40~69歳の女性の乳がん検診の受診率は2010年から2016年の間、39%から45%まで上昇しましたが、やはりしこりを主な症状として受診される方で「検診は受けたことがなかったんです…」という方は依然として多いです。日本の乳がん罹患率は45~49歳で最も高く、60歳前後でも再度上昇します。これと比較すると30~34歳、35~39歳の罹患率はそれぞれおよそ10分の1、4分の1と低いですが、各自で可能な限り受診をする姿勢は大事です。

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マンモグラフィと乳房超音波の違いとは

マンモグラフィ、超音波は両方の検査が互いの短所を補い合っている為、年1回、両方の検査を受けるのが理想です。

マンモグラフィ

乳房を挟んでX線で撮影する検査。病変の存在を検出、また石灰化の検出にも優れており、検査者による差が出にくい検査にはなります。ただ、乳腺の濃度が高い(高濃度乳房)場合は病変が分かりづらく、結果的に超音波検査も併用したほうが正診率も上昇し不要な再検査を避けることができます。

超音波検査

ゼリーをつけて表面から内部の乳腺の状態をスキャンする検査。病変の存在だけでなく、その病変がどのようなものなのか、質的診断ができます。ただ、石灰化病変の検出は難しい場合が多く、マンモグラフィより検査者による差は出やすい方法です。

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早期発見のためにセルフチェックを

手を挙げた状態だと乳腺が固定されるので、その状態で反対側の手で触ってみましょう。まずは全体を手のひらで押し付けながら滑らせるように触ります。この時、お風呂などで石鹸がついている状態だと滑りが良く分かりやすくなります。そのあと指先でも触ってみましょう。

また、触るだけでなく、座った状態で皮膚のひきつれがないか、左右差がないか、乳頭が数か月で陥没してきていないか…など見た目もチェックしましょう。胸の痛みで受診する方は多いですが、痛みだけでしこりを伴わない場合で、特に日が経つと軽快したりする場合は基本的に乳腺症でありません。

乳がん検診を特にしっかり受けた方がいい人

40歳以上の女性は乳がん罹患率が上昇するため必須です。40歳以下であれば、乳がんの家族歴がある方、初潮が12歳以前にあった方、30歳以上で出産歴のない方、初産年齢が30歳以上の方、女性ホルモン内服中の方(低用量ピル含む)は乳がんのリスクが上がるので積極的に検診を受けましょう。

参考文献:
1)国立がん研究センターがん情報サービス
2)乳がん診療ガイドライン2018 疫学・診断編
3)乳がんの臨床3:1-21 1998

小林麻

日本乳癌学会乳腺専門医 / 美容皮膚科医後藤 瞳

2007年大分大学卒
外科専門医、乳腺専門医、美容皮膚科医
現在はメディアージュクリニックにて美容皮膚科として勤務しつつ、東急病院にて人間ドック、検診など乳腺の診療に携わる。