THE INSIDE STORY OF TRIUMPH トリンプ開発ストーリー
女性たちの毎日に、自信と快適を。
一人ひとりが「クラフトマン(職人)である」という誇りを胸に、
ランジェリーをお届けしている私たちトリンプ。
開発ストーリーでは、人気シリーズの誕生秘話や抜群の着けごこちへのこだわりを、
担当者へのインタビューでご紹介します。
VOL.01
いつの時代も新しい「天使のブラ®️」。デザインで魅力的に進化させたい - デザイナー 鈴木 優子
デザイナー 鈴木優子
PROFILE
新卒でセレクトショップの販売職を経験した後、ものづくりに携わりたいという思いから、アパレル系専門学校に入学。以前から好きだったランジェリーをデザインしてみたいと、2012年トリンプには入社。約11年間、アモスタイルでデザインを手がけ、広くトリンプブランドを担当している。
VOL.01 INDEX
01
もっとファッションに!
ランジェリーの常識を
変えた「天使のブラ®️
「天使のブラ®️」が、間もなくデビューから30周年を迎えます。トリンプを代表するシリーズとしてロングセラーを続けていますが、どのように誕生したのでしょうか。

バブル景気が崩壊するなど、日本が大きな変化を迎えた90年代前半。トリンプから、それまでのブラジャーの常識を変えるような新作が誕生しました。それが、1994年に誕生した「天使のブラ®️」です。

いろいろな点で、当時としてはとても画期的なブラジャーとして注目されたと聞いています。

まずは、何といってもカラーでしょう。それまではベージュやホワイトが主流だったブラジャーのメイン色に、明るいパステルカラーの水色を打ち出したんです。社内では猛烈な反対があったようですが、「お客様はファッションを楽しむように、ランジェリーも楽しみたいはず!」と発案した開発担当の女性社員の熱意で採用されました。

また、着けごこちのよさも、「天使のブラ®️」の開発にあたっては重視されました。というのも、当時のブラジャーは、ボディへのやさしさは二の次だったようなんですね。お客様から寄せられる「ワイヤーが当たって痛い」という不満の声に応えたいと、試行錯誤を重ねて、カップの外側にワイヤーを取り付けるという独自技術を開発しました。“天使”というネーミングも、そのやさしいイメージから付けられたものです。

30年を経て、気分が上がるような華やかなカラーのブラジャーも着けごこちへの配慮も、当たり前になりました。

日本人女性に寄り添った商品が人気のため、国内の企業だと思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、実はトリンプは1886年にドイツでスタート。日本に限らず、時代の女性たちのニーズにあったランジェリーを150年近くにわたって生み出してきました。そんな背景を思うと、ブラジャーの常識を変えた「天使のブラ®️」の誕生も納得ですし、個人的には、まさにトリンプらしい商品だと思っています。

デザイナー 鈴木優子
02
胸のボリューム調節が
可能な、
パッド付きの
アイデアで大ヒット
現在、「天使のブラ®️」には多くのシリーズがありますが、昔からご存じの方の間では、“寄せて上げて”や“谷間”の印象が強いのではないでしょうか。

そうですね。“寄せて上げて”、“谷間”のイメージを印象付けた、1995年に発売した2作目「天使のブラ®️ ウルトラアップ」は、社内でも語り継がれるヒット作のひとつです。でも、パッドで胸をボリュームアップするという機能には賛否両論あり、発売にあたってはずいぶん議論したようです。ボディコンブームなどはありましたが、「男性目線ではなく、女性自身がバストを大きく見せたい、谷間を強調したいと本当に思っているのか?」という点に対して、多くの社員が懐疑的だったそうなんです。

そんな中、発売にこぎつけられたのはなぜでしょう。

私自身、「天使のブラ®️」に携わっていて感じることですが、いろいろなハードルがあっても、そこにある情熱やチャレンジ精神をなんとか形にしようというトリンプの風土があるような気がします。「ウルトラアップ」がお客様に受け入れられるかどうか不安を抱えたままの発売でしたが、自分で胸のボリュームの調節ができる機能が受けて大ヒット。発売2年後の1997年には60万枚を達成し、名実ともに「天使のブラ®️」はトリンプの代名詞になりました。以来、お客様の声に耳を傾け、生まれた「天使」は10シリーズ以上。今なおロングセラーを続けています。

デザイナー 鈴木優子
03
固定観念に縛られず、
変化を恐れないのが
「天使」らしさ
トリンプにはたくさんのシリーズがありますが、鈴木さんの考える “天使らしさ”とは何でしょうか。

長年アモスタイルでデザインを手がけてきて、実は「天使のブラ®️」の担当になってまだ数年。30年間のアーカイブを紐解いてみたり、社内の先輩デザイナーたちに話をきいたりと勉強している最中なのですが、その中で思うのは、「天使」は常に新しいことを取り入れてきたからこそ、ロングセラーであり続けられているシリーズなのだということです。

具体的には、どういったことですか。

世の中の固定観念に縛られない、変化を恐れないということでしょうか。「天使のブラ®️」誕生時のカラーの話が、やはり象徴的だと思います。また、私自身もそうですが、ヒット作の場合、新しい変化を加えるのはとても勇気のいることです。とくに「天使」は長年愛用してくださっているお客様が大勢いるため、少しでも仕様が変更になると、「脇の感じがちょっと変わったんじゃない?」など、売場ですぐにお声をいただくようなんです。

でも、より魅力的になると信じたら、恐れずに新しい「天使」に挑戦し続けてきた。その結果、ロングセラーでありながら、30年間、どの時代の女性にも愛される「天使のブラ®️」が生まれ続けているのではないでしょうか。

デザイナー 鈴木優子
04
天使世代の私だからこそ
生み出せる、
お客様にリアルにひびく
デザインを
「天使のブラ®️」をデザインする上で意識していることは何でしょうか。

今ちょうど、「天使のブラ®️」を多く着用いただいているお客様と同世代。カラーの使い方やレースの柄、伸縮性のよい素材を多く取り入れるなど、大人の女性のボディや好みにフィットするデザインをより心がけるようになりました。

中でも、ディテールへのこだわりには、ちょっと自信があるんです(笑)。私にとっては、形の決まった小さな面積の中で、いかに魅力的な世界を作るかが、ランジェリーデザイナーの腕の見せ所。例えばレースのフラワー柄は、花弁の形の少しの違いで、かわいらしくなったり、エレガントになったりします。どうしたら「天使」らしく仕上がるかを試行錯誤して、それだけで数日経ってしまったりも。着用した時、店頭に並んだ時など広い視点も大切なので、細部にこだわるという私らしさを大切にしつつ、一歩引いて見ることも心がけています。

今後、どんな「天使のブラ®️」のデザインにチャレンジしてみたいですか。

「こういうのが欲しかった!」「今まで着けたことがないデザインだけれど、トライしてみようかな」と言っていただけるような、新しい「天使のブラ®️」を提案したいという気持ちがいちばん。その上で、私自身はインポートランジェリーの繊細なテイストに魅かれるので、そういったディテールを日本の女性たちに受け入れていただけるような形で、「天使」の着けごこちにあったデザインで提案できたらいいですね。

また、トリンプはグローバル企業なので、ヨーロッパや他のアジアの国のデザインチームとの情報交換の機会も多く、その中には参考になる話がたくさんあります。「天使のブラ®️」は日本発のシリーズだからこそ、新鮮な風もどんどん取り入れてアップデートしていくのも、私たちデザイナーの使命だと思っています。
ロングセラーの「天使のブラ®️」を任されていることに責任も感じつつ、大きなやりがいも。まだ「天使」を着けたことのない方には、手に取っていただけるような、そして長年のお客様にはいい変化を感じていただけるような「天使のブラ®️」をデザインしていきたいです。

デザイナー 鈴木優子